画像アノテーションとは?事例と作業効率化のためのヒント

画像アノテーションは、多くの人工知能(AI)製品を支える基盤であり、コンピュータビジョン(CV)において最も重要なプロセスの1つです。

 

画像アノテーションとは?

画像アノテーションでは、画像にタグやメタデータといった注釈をつけるラベル付け(アノテーション)作業のことを指します。ラベル付けでは、AIモデルに認識を学習させたいデータの特徴を特定します。

小さい頃を思い出してください。初めは犬というものがわかりませんが、大きくなるにつれ、たくさんの犬を見るうちに、犬の品種や、犬が猫や豚とどう違うかを理解するようになります。人間と同じように、コンピュータも物事を分類する方法を学ぶために、多くの経験が必要です。画像アノテーションは、このような例をコンピュータが理解しやすい形で提供するものです。

 

画像アノテーションの活用事例

ここでは、画像アノテーションを使った事例を業界別に紹介します。

医療

放射線画像から、特定のがん細胞を発見するなど、画像データから異常を発見することができます。AIが病気を診断するためには、何千ものスキャン画像を用いて、AIをトレーニングする必要があります。人間だと、経験や直感に頼りがちで見落としてしまうこともあります。一方で、AIであれば異常を見落とすことなく、小さな異常も発見することができます。もちろん、AIは医師の代わりになるものではありませんが、精度の高い診断を迅速に行うため、AIの活躍が期待されています。

金融業

ATMからお金を引き出す顧客の身元を確認する、顔認識技術などで活用されています。これは、目や口などの顔の特徴をマッピングする「ポーズポイント」と呼ばれるアノテーション手法によって行われます。顔認証は、迅速かつ正確に本人確認を行うことができるため、不正検知の効率化が可能です。

小売業

倉庫や棚管理、店舗データを用いて、欠品管理や客層分析などに活用することができます。品切れの商品があった場合には、店員にアラームで知らせたりたりすることもでき、欠品による機会損失を回避することができます。バーコード画像をスキャンして、商品情報を収集することも可能です。

 

画像アノテーションの種類

画像アノテーションには、一般的に3つの種類があり、プロジェクトによって使う手法が異なります。

画像分類(クラシフィケーション)

画像分類では、画像に対し、これは何か、どんな色か、といった1つの属性をタグ付けします。この方法は、1つのラベル付けで済むため最も簡単な画像アノテーションの手法ですが、対象物が画像のどこにあるのかは示さないため、情報としては曖昧になりがちです。

物体検出

物体検出では、アノテーターに画像内のラベルを付ける必要のある特定の物体が与えられます。つまり、ある画像に犬がいると分類された場合、画像内のどこに犬があるのかを具体的に示すことで、さらに一歩踏み込んだ情報を提供します。物体検出には、以下のような方法があります。

2Dバウンディングボックス

長方形や正方形を適用して、ターゲットとなるオブジェクトの位置を定義します。画像アノテーションでは最も一般的な手法の1つです。

3Dバウンディングボックス

アノテーションの対象となるオブジェクトに立方体を適用し、オブジェクトの位置と深さを定義します。

ポリゴンセグメンテーション(多角形ポリゴン)

複雑な形状の物体に対して多角形で領域を囲い、アノテーションを行います。前述したバウンディングボックスでは、背景や他の物体など対象物以外の部分が含まれてしまう一方で、ポリゴンセグメンテーションは、手間や時間はかかりますが、より正確で細かい範囲の認識が可能です。

セマンティックセグメンテーション(領域分類)

画像全体や画像の一部の検出ではなく、ピクセル(画素)1つひとつに対して、意味付けをするアノテーションを行います。

 

アノテーション作業を効率化するには?

画像アノテーションは、AI構築と同様に複雑です。AIを適切に動作させるには、大量の高品質な教師データ、そのデータをアノテーションする多様なチーム、実行のための包括的なデータパイプラインが必要です。

十分な社内リソースがない場合、アノテーション企業などに外注することは有効な選択肢となります。これらの企業は、画像データ、専門のアノテーター、ツール、業界経験により、大規模なデータへのアノテーションを迅速に行います。

画像アノテーションの場合、画像には様々な問題があります。画像の明度が暗かったり、対象物が隠れていたり、人間の目では認識できないような画像もあります。このような状況をどう対処するかについては、画像アノテーションプロジェクトを開始する前に決めておく必要があります。

 

画像アノテーション専門家による3つのアドバイス

Appenでは、画像アノテーションを活用した最先端のAIモデル構築を支援するために、専門のチームがいます。Appenのプロダクトマネージャーであるリズ・ハメルは、画像アノテーションに関して以下のアドバイスを述べています。

要件を明確に定義する

プロジェクトの目標を明確に定義することから始めましょう。アノテーションの形状、メタデータ、オントロジー、フォーマットなど、教師データの要件は、プロジェクトにより決まります。

反復を計画する

教師データの初期要件を定義し、試験運用を行います。繰り返しチューニングを行うことで、エッジケースを発見することができます。この場合、専門のアノテーション企業と協力するのも1つの手でしょう。

拡張性を意識する

AIモデルを使うユーザーが増えるほど、モデルの精度を保つために必要な画像アノテーションの量も増えていきます。必要な量の教師データをすばやく手に入れられるようにしておくことも重要です。

 

Appenの画像アノテーションサービス

Appenは、継続的なAIの学習や改善に欠かせない画像、文章、発話、音声、映像、その他のデータを収集、アノテーションを行うサービスを提供しています。100万人以上の熟練したクラウドワーカーからなる、グローバルネットワークを活用し、偏りの少ない高品質な教師データを、大規模かつ迅速に提供します。

詳細については、以下のフォームもしくは、contact-japan@appen.comまでメールでお問い合わせください。


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