教師データとは?定義・例・学習データとの違い・データ収集方法

教師データとは?
本記事では、教師データの定義、例、教師あり学習との関係、訓練データや学習データとの違い、データ収集方法、よくある質問などを解説していきます。
教師データの定義
教師データ(Teaching Data)とは、AIや機械学習モデルの構築に使用される、入力データとそれに対する正解ラベル(出力)がセットになったデータを指します。
このラベル付きデータは、データアノテーションによって作成され、主に教師あり学習の手法でモデルを学習させる際に用いられます。
教師データの例
教師データでは、以下のように入力された各データに対して正解が紐づけられています。
教師データを準備するためには、特定のケースに合わせて、アノテーションをつける必要があります。
教師あり学習と教師データの関係
教師あり学習(Supervised Learning)とは、正解のラベルが付けられたデータ(教師データ)を使って、AIや機械学習モデルを学習させ、データ分類や結果予測を行うシステムを構築する手法です。
この手法では、教師データに含まれる入力データと正解ラベル(出力)の特徴、関係性、パターンをモデルが学習することで、未学習の新しい入力データに対しても、自動的かつ適切に判断や予測ができるようになります。
教師データと機械学習
機械学習アルゴリズムは、データから学習します。与えられた教師データから、関係を見つけ、理解を深め、判断を下し、信頼度を評価します。そして、教師データが優れていればいるほど、モデルの性能は向上します。機械学習における教師データの質と量は、アルゴリズムと同様に、データプロジェクトの成功に大きく関わっています。
教師データ・訓練データ・学習データの違い
教師データ、訓練データ、学習データの定義と違いを解説します。これらの用語は似ていますが、それぞれ異なる意味を持っています。
学習データ (Learning Data)
学習データ(Learning Data)とは、機械学習において使用されるデータ全般を指し、教師データや訓練データよりも広い最上位概念です。
学習データには、教師あり学習で使用されるデータだけでなく、教師なし学習や強化学習で使用されるデータも含まれます。
教師データ・訓練データ(Teaching Data・Training Data)
通常、教師データと訓練データは同義として扱われることが多いですが、教師データはより広い上位概念で、訓練データの他に、検証データやテストデータも含みます。
学習データ・教師データ・訓練データの比較表
教師データのデータ収集方法
高品質なAIモデルを構築するには、信頼性が高く、目的やニーズに合った教師データが不可欠です。ここでは、主な教師データの収集方法と、それぞれのメリットとデメリット、そしてアプローチの決め方について解説します。
オープンデータセットを活用する
政府機関、大学、研究機関、企業が公開・提供しているオープンデータセットを活用する方法です。
メリット
- 政府機関や研究機関が、無料で提供しているデータセットもある
- Web上で簡単にダウンロードして入手できる場合が多い
デメリット
- 無料のデータセットは、目的とする特定のタスクやニーズに合わない可能性がある
自社で教師データを作成する
自社で蓄積・保有しているデータを、教師データとして活用する方法です。
メリット
- 自社で大規模なデータを長年蓄積し保有している場合、目的に合ったデータである可能性が高い
デメリット
- 多様性、網羅性、一貫性、更新性に欠ける場合がある
データ収集に特化したベンダーに依頼する
AIデータ収集に特化した専門ベンダーに教師データの収集・作成を依頼する方法です。AIデータ専門のベンダーは、データアノテーションのノウハウや品質管理の体制が整っていることが多く、多くのAIプロジェクトで採用されています。
メリット
- 高品質な教師データを短期間で入手できる
- 既製データセットを提供している企業もある
- 自社で作成できない大量のデータを収集・作成できる
- アノテーションツールや、専門的な知見・ノウハウを活用できる
- 多言語データや医療データなど、専門分野のデータに対応できるベンダーもある
デメリット
- 大量の高品質なデータには相応のコストがかかる可能性がある
最適なアプローチは、プロジェクトの規模、社内にAIデータの知見やノウハウを持つリソースがいるか、要求される品質と専門性、納期、コストによって異なります。
以下のようなケースでは、外部のデータ収集専門企業に依頼するのが一般的です。
- 大規模または中規模のプロジェクト
- 短納期で教師データが必要な場合
- 高品質データが求められる場合
- 社内にAIデータに関する知見やノウハウがない場合
教師データは機械学習にどのぐらい必要?
機械学習の教師データがどれくらい必要かを決めるには、さまざまな要素があります。第一に挙げられるのが、どの程度の精度が求められるか、ということです。
例えば、感情解析のアルゴリズムを作成するとします。感情解析は確かに複雑ですが、生死に関わる問題ではありません。85〜90%の精度を達成するセンチメント・アルゴリズムは、多くの人のニーズにとって十分でしょう。
一方で、がん検出モデルや自動運転車のアルゴリズムではどうでしょうか。がん検出モデルは、文字通り生死に関わる問題です。もちろん、複雑なユースケースほど、より多くのデータを必要とするのが一般的です。
食品だけを識別するコンピュータビジョンと、物体を識別するコンピュータビジョンでは、経験則としてより少ない学習データで済みます。モデルが識別できるクラスが多ければ多いほど、より多くの例が必要になります。
ただし、質の高いデータが多ければいいというものではありません。より良い学習データ、より多くの教師データが、モデルを向上させます。もちろん、データを増やしても得られる利益が小さすぎる場合もあるので、データにかける予算と照らし合わせて判断する必要があります。
教師データに関するよくある質問
機械学習における教師データに関して、よくある質問をいくつか紹介します。
教師データにアノテーションをつける方法は?
データアノテーションを行うには、以下のような方法が一般的です。
- オープンデータセットを活用する
- 自社で教師データを作成する
- データ収集に特化したベンダーに依頼する
テストデータとは何ですか?
機械学習では、訓練データとテストデータの両方が必要です。訓練データでモデルを学習させたら、通常はテストデータでモデルの精度を評価します。多くの場合、これらのデータは同じデータから取得されますが、訓練データは、アルゴリズムの信頼性と精度を高めるためにラベル付けや強化学習が行われます。
教師データにバイアスがないことを確認するにはどうすればよいですか?
バイアスは、AI構築プロセスの多くの段階で起こる可能性があるため、すべての段階でバイアスを軽減する必要があります。教師データを収集する際には、データがすべてのユースケースとエンドユーザーを代表するものであることを確認してください。さらにバイアスを減らすために、データのラベル付けやモデルのパフォーマンスの監視も、多様な人々で行うようにします。
教師データはどのくらい必要ですか?少ない場合は?
機械学習に、どれくらいのデータが必要かということについては、厳密な決まりはありません。ユースケースによって、必要なデータ量は異なります。自動運転車のように信頼性の高いモデルが必要な場合は、膨大な量のデータが必要になりますが、テキストに基づくかなり狭い範囲の感情モデルであれば、必要なデータ量ははるかに少なくなります。しかし、一般的に想定よりも多くのデータが必要になる場合が多いです。
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