TTS(Text-to-Speech)とは?仕組み・活用事例

Text-to-Speech(TTS、音声合成)とは?
近年、Text-to-Speech(TTS)と呼ばれる音声合成技術が急速に進化し、さまざまな業界で活用されています。
本記事では、Text-to-Speech(TTS、音声合成)の基本概要、仕組み、企業によるTTSの活用事例、TTS導入のメリットなどを解説していきます。
TTSの基本概要
Text-to-Speech(TTS)は、テキストデータ(文字列)を音声に変換する技術です。音声合成、音声生成、音声読み上げ、テキスト読み上げ、テキスト・トゥ・スピーチとも呼ばれます。
近年、AI技術の進化により、TTSの品質は飛躍的に向上しました。従来の機械的な音声とは異なり、TTSは人間が話しているかのような自然で滑らかな発声が可能です。
TTSは、テキストデータを自動で解析し、人間の話し方に近い音声を生成します。これにより、自動応答システム、対話ロボット、自動アナウンス、スマートスピーカー、オーディオブック、Webサイトの自動読み上げ機能、コンテンツの多言語対応など、さまざまな業界で幅広く活用されています。
TTSの仕組み
ディープラーニング(Deep Learning)の発展により、TTS(音声合成)は大量のデータを解析し、単語と音響特徴の複雑な関係性を深く学習できるようになりました。
その結果、AIが生成する音声は、より自然で、人間の発声と見分けがつかないほどの品質へと向上しています。
テキストを音声に変換するTTSのプロセスは、言語分析と音声合成という2つの要素で構成されています。
言語解析(Linguistic Analysis)
言語解析は、テキストを構造的・意味的に解析するプロセスです。
自然言語処理(NLP)の一部として行われ、単語の品詞や文法構造、意味関係を理解する役割を担います。
TTSモデル内のディープニューラルネットワークは、音声データセットと対応する書き起こしデータを学習するプロセスにより、単語と音声の関係性だけでなく、アクセント、音程、音量、リズムといった音声の特徴も深く理解できるようになります。
テキストデータが与えられると、TTSモデルは以下の処理を行います。
- 単語、句読点、文の構造を解析する
- 略語や表現を元の形に変換する
- 単語の発音時間(長さ)を計算する
- 適切な発音を特定する
- フレーズのイントネーションやリズムを解析する
音声合成(Speech Synthesis)
言語解析が完了すると、TTSモデルは以下のステップを経て音声を生成します。
ステップ1:テキストから特徴を抽出する
TTSモデルは、入力されたテキストを時間軸に沿ったメルスペクトログラムやF0周波数などの音響特徴量に変換します。スペクトログラムは、時間の経過に伴う周波数成分の変化を視覚的に表現するために用いられ、これによって音声の細やかな特徴、例えば文脈によって変化する発音、イントネーション、リズムなどを捉えることができます。
ステップ2:音声波形への変換
ニューラルネットワークは、時間的に整列された特徴量を音声波形に変換し、自然な音声データを生成・合成します。また、音量や音程、話す速度、異なる言語やアクセント、話し方を選択・調整できるTTSモデルも存在します。
企業によるTTSの活用事例
企業によるTTSの活用事例として、以下のような例が挙げられます。
音声アシスタント
TTSは、音声アシスタントの分野で広く活用されています。天気、ニュース、音楽の再生、アラームの設定など、ユーザーの指示に対して自然な音声で応答する音声アシスタントやスマートスピーカーで、TTS技術が活用されています。また、今後、ヘルスケア医療分野での普及も期待されています。
ナビゲーションシステム
TTSは、自動車の車載ナビゲーションシステムで広く活用されています。カーナビや地図アプリにおいて、TTSは経路や地図情報の音声案内で使われています。
自動音声カスタマーサービス
TTSは、自動音声カスタマーサービスで広く活用されています。従来の機械的な音声に代わって、動的に生成された自然な人間の声による自動音声カスタマーサービスは、顧客対応にかかる人件費の削減を実現しています。
オーディオブック・eラーニング
TTSは、オーディオブックやeラーニングの分野で活用されています。オーディオブックやeラーニングのコンテンツに、生成した音声で読みあげる機能を追加することで、学習体験を向上させることができます。
AIとTTS
TTSという技術は決して新しいものではありません。Webサイトを読み上げる機能など、社会のあらゆる場所で何年も前から実用化されていますが、従来のTTSは、自然な人間の声には聞こえなかったことが難点でした。
今では、AI(人工知能)の発達により、TTSはかつてないほど自然な人間の声を合成または生成できるようになっています。
AIで合成または生成された音声は、現在、より感情的な音声となり、従来のように機械的な声ではなくなりました。また、従来のTTSが苦手としていた日本語と外来語または外国語の単語が混ざった時の発音、複合名詞の発音、人間らしい話し方など、従来の課題を解決した音声生成モデルも登場しています。
機械学習とTTS
AI音声生成(AI音声合成)技術に活用されているのが、膨大な音声データセットと機械学習です。最先端の音声合成モデルは膨大なパラメーターをもち、何十何百時間の音声データセットを使用して、機械学習されています。機械学習で訓練された音声生成AIによって、次のことが実現されています。
- 自然な声:より自然な音声を生成することができます。
- 多言語:英語などの主要言語だけでなく、幅広い言語に対応しています。
- 豊富な声:言語だけでなく、性別、人種、アクセント、方言など、条件に沿った音声生成が可能です。
- カスタム音声:既成の音声パターンだけでなく、誰かの声またはカスタマイズした声を使用して、オリジナルのAI音声を生成をすることができます。
- 調整・チューニング:声の高さ、発声のスピードなども自由に制御できます。
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