プロンプトエンジニアリング (Prompt Engineering)とは?

プロンプトエンジニアリングとは?
本記事では、プロンプトエンジニアリングの定義、目的、重要性、プロンプトの構成要素を解説していきます。
プロンプトエンジニアリングの定義
プロンプトエンジニアリング(Prompt Engineering)とは、生成AIから意図した出力を得るために、AIに与える指示文であるプロンプトを最適化する技術を指します。
適切なプロンプトを作成することで、AIの性能を最大限に引き出し、より質の高い文章生成や効果的な問題解決につながります。
プロンプトとは?
プロンプトとは、生成AI(大規模言語モデル)に入力する指示や質問、リクエストのことを指します。生成AIに対して「何をしてほしいか」を伝えるためのテキストのことです。
プロンプトエンジニアリングの目的
大規模言語モデル(LLM)では、言語モデルに入力する命令(プロンプト)によって、出力される回答が大きく変わります。 最適化されたプロンプトを入力しなければ、意図した回答を得られず、効果的に活用することは難しくなります。そのため、こちらの意図が正確に伝わるよう、プロンプトを最適化する必要があります。
プロンプトエンジニアリングの重要性
プロンプトエンジニアリングは、モデルの性能を直接左右する重要な要素です。
特に、AIの透明性や信頼性を向上させるうえで欠かせない技術とされ、今後もAIを活用するあらゆる場面で重要性が高まると考えられています。
プロンプトエンジニアリングの最大の特徴
プロンプトエンジニアリングの最大の特徴は、モデルの出力を意図した形にコントロールできる点です。出力結果を望ましい方向に誘導するため、質問形式や指示の表現方法を工夫します。質問を明確にしたり、詳細を指定したりすることで、より精度の高い回答を得ることが可能です。
意図が不明確なプロンプトの例
「AIについて教えてください。」
意図が明確なプロンプトの例
「AIの定義、特徴、どのように活用できるか、今後の展望について1,000文字程度で説明してください。」
プロンプトの構成要素
プロンプトの構成要素は、生成AIに対して明確な指示を与え、期待する出力を得るために重要です。一般的に、以下の4つの要素がプロンプトの構成要素として挙げられます。
1.命令 (Instruction)
プロンプトにおける命令とは、生成AIに実行してほしいタスクを指示する文を指します。 意図した回答を得るためには、明確に何をしてほしいのかを指示することが重要です。
生成AIに対して行う命令には、以下のようなものがあります。
生成AIに対して行う命令の種類
- 書いてください。
- 要約してください。
- 教えてください。
- 作成してください。
- 修正してください。
- 説明してください。
- 翻訳してください。
- 分類してください。
生成AIに対して行う命令の例
「次のテキストをフランス語に翻訳してください。」
2.文脈(Context)
プロンプトにおける文脈とは、生成AIに対して行う命令に関連して、考慮してもらいたい背景情報や追加情報などを指します。生成AIに特定の文脈や背景、追加情報を提供することで、より正確で関連性の高い出力を生成することができます。
例えば、先ほどの命令の例に文脈を加えてみましょう。
文脈のないプロンプトの例
「次のテキストをフランス語に翻訳してください。」
文脈のあるプロンプトの例
「あなたは、フランスのIT企業で営業担当者として働いています。次のテキストをフランス語に翻訳してください。これは取引先に送るビジネスメールです。」
このように、文脈(立場や役割など)を明確に定義することで、プロンプトがより具体的で明確になります。あなたが属している業界や会社など、精度を高める可能性のある情報を追加することも有効です。
3.入力データ(Input Data)
プロンプトにおける入力データとは、生成AIが処理する対象となるデータを指します。テキスト、画像、コードなど、様々な形式のデータが入力データとして使用できます。命令と文脈に基づいて、生成AIはこの入力データを処理し、出力を生成します。
実際に、入力データを追加してみましょう。
入力データのないプロンプトの例
「あなたは議事録の担当者です。要約してください。」
入力データのないプロンプトの例
「あなたは議事録の担当者です。以下の会議メモを要約してください。」
このように、回答に必要な情報をプロンプトに含めることで、生成AIは何を要約すべきかを理解することができます。言うまでもありませんが、上記のプロンプトの下に会議メモを貼り付ける必要があります。
4.出力インジケーター(Output Indicator)
プロンプトにおける出力インジケーターは、出力指示または出力形式とも呼ばれ、期待する回答の形式やスタイルを具体的に示すものです。どのような形式の回答を望んでいるのかを、明確に指示することが重要です。
実際に、出力インジケーターを追加してみましょう。
出力インジケーターのないプロンプトの例
「あなたは議事録の担当者です。以下の会議メモを要約してください。」
出力インジケーターのあるプロンプトの例
「あなたは議事録の担当者です。以下の会議メモを箇条書きで要約してください。要約は1,000文字以内である必要があります。」
上記の例では、箇条書き形式で要約すること、そして1,000文字以内に収めることという2つの条件が出力インジケーターとして明確に示されています。このように具体的な指示を追加することで、生成AIが意図した形式で回答を出力しやすくなります。
Appenのソリューション
Appenは、大規模言語モデル(LLM)アプリケーション開発を検討している企業向けに、さまざまなサービスと製品を提供しています。
データ収集・データアノテーション
AIデータ企業のAppenは、AIデータ業界のグローバルリーダーとして、28年以上にわたり、290以上の言語・方言に対応した高品質なデータを提供してきました。データクリーニング、データセット作成、データ収集、データアノテーションなど、お客様のAIモデル開発に必要な一連のサービスを提供しています。詳しくはこちらをご覧ください。
ファインチューニングとRLHF
AIデータ企業のAppenは100万人以上のクラウドワーカーと経験豊富な専門チームを有し、お客様のモデルを最適化するためのファインチューニングと、人間とAIのフィードバックによる学習(RLHF)を支援します。バイアスを最小限に抑え、高性能なモデル開発を実現します。
大規模言語モデル開発プラットフォーム
Appenが独自に開発した大規模言語モデル開発プラットフォームは、大規模言語モデルの開発プロセスを効率化します。トレーニング、ファインチューニングだけでなく、開発に必要な様々なツールを提供し、迅速なモデル開発をサポートします。
大規模言語モデル開発に関するご相談は、こちらよりお気軽にお問い合わせください。