自動運転だけじゃない!? LiDARの応用事例と原理を解説

LiDARは何十年にも渡り、さまざまな産業で有用な技術として使われてきました。一方で、最近になって自動運転開発などの分野で、注目を集めるようになっています。

 

LiDAR(ライダー)とは? 

LiDARは、「Light detection and ranging(光による検知と測距)」を略した言葉で、対象物に触れずに調べるリモートセンシング技術の1つです。レーザー光を使用して、センサーと建物や歩行者などの対象物との距離や寸法を測定します。

LiDARの歴史は古く、1960年代に地形をスキャンするために初めて飛行機に搭載されて以来使われてきた技術です。1980年代にGPSが開発されると、LiDARはさらに普及し、GPSによってLiDARスキャンから収集したデータを、3Dモデルの構築に使用することができるようになりました。

利用可能なLiDARデータの幅が広がるにつれ、AIや機械学習と組み合わせたイノベーションが期待されています。

 

LiDARの仕組み

LiDARシステムは、一般的に4つの要素で構成されています。

レーザー光

ターゲットとなる物体(建物、車両、歩行者など)にレーザー光を送ります。光の種類は、紫外線、可視光線、近赤外線が一般的で、採用するLiDARの種類によって異なります。

スキャナ

レーザーが対象物をスキャンする速度と、レーザーが届く距離を調整します。

センサー

レーザー光が対象物に当たって跳ね返り、LiDARシステムに戻ってくるまでの時間を測定します。

GPS

LiDARシステムの位置を追跡し、対象物とシステム間の距離測定が正確に行えるようにします。

 

LiDARの種類

最新のLiDARシステムは、1秒間に50万個の3Dデータを送信することができます。システムはこれらの情報を点群データに集約します。点群データとは、空間内のオブジェクトを表す座標のデータセットで、空間の3Dモデルを作成するために使用されます。LiDARの種類は大きく2つに分けられます。

航空レーザー測量

ドローンや飛行機などの飛行体にシステムを搭載し、測量を行います。この場合、LiDARは地上に3Dデータを送信し、地表面の座標値を計測していきます。

地上レーザー測量

自動車や船などの移動体に設置(車載型)したり、地面に固定した三脚に設置(固定型)して測量を行います。全方向をスキャンすることができ、点群から3Dモデルを作成するために使用されます。

 

LiDARの活用例

LiDARは、建築、製造、海洋、3Dプリント、VRなど、多くの産業で欠かせない技術です。

自動運転

自動運転車では、レーダーやカメラからのデータ入力と組み合わせて、周囲のエリアをスキャンし、空間の3Dモデルを作成し、車両がどのように進むべきかを瞬時に判断するために、AI搭載のLiDARを必要とします。正確なLiDARは、運転手や乗客の安全確保に不可欠です。

農業

農業分野では、ドローンに搭載されたAI搭載のLiDARシステムを使って、畑の地形図を作成するといったことに使われています。この地図は、農家が標高や日射量に基づいて、作物の栽培、肥料の散布、農薬の散布に最適な場所を決定するのに役立ちます。また、種子の散布後、LiDARを使って作物の収穫率を追跡することも可能です。

防衛

防衛分野では、国境偵察や不審物の特定などにLiDARが使われています。AIと組み合わせることで、潜在的な脅威に対して、自律的な偵察や調査が可能になります。

 

LiDARに対する考察

Appenでは、LiDARデータを活用した最先端のAIモデル構築を支援する、専門のチームがいます。Appenのデータサイエンスディレクターであるクオ・チンは、LiDARに関して以下のような見解を述べています。

空間コンピューティングの応用

スマートカーからスマートフォンまでLiDARを活用することで、スキャンした物体とその周辺の3D情報へのアクセスが可能になります。特に、奥行き、距離、形状、寸法などの空間情報が重要である場合、さまざまな分野での応用が期待できます。

例えば、小売業では在庫管理、建設業では完成した建築物と図面の比較における品質保証などです。また、最近の事例として、自動車メーカーがLiDARを使用して、道路上の物体を検出し、ADAS(先進運転支援システム)の性能を向上させた例があります。

 

空間コンピューティングを強化する3Dディープラーニング

3Dスキャンデータを理解するために、深層学習の技術が使われています。深層学習ですべてのデータポイントを理解することは難しいですが、AIを活用することで、2D画像コンテンツをスケールで理解することが可能です。

音声認識のように1次元、画像信号のように2次元の深層学習ソリューションと比較すると、深層学習のアルゴリズムは、追加の次元が入ってきても、リアルタイム性能と低いメモリフットプリントを維持することができます。専門家たちは、精度を維持しながら不規則なデータの疎密を活用しようと考えていますが、これは簡単なことではありません。

 

Appenについて

Appenは、自動運転開発に欠かせないLiDAR、センシングデータから、画像、文章、発話、音声、映像、その他のデータを収集、アノテーションを行うサービスを提供しています。100万人以上のクラウドワーカーからなる、グローバルネットワークを活用し、偏りの少ない高品質な教師データを、大規模かつ迅速に提供します。

詳細については、以下のフォームもしくは、contact-japan@appen.comまでメールでお問い合わせください。

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