OpenAI社の生成AI「ChatGPT」が一般公開されて1年以上がすぎた今、プロンプトエンジニアリング（Prompt Engineering）に注目が集まっています。
プロンプトエンジニアリングとは
プロンプトエンジニリング（Prompt Engineering）とは、ChatGPTに代表される生成AIを効果的に使いこなすため、プロンプトと呼ばれる命令を最適化するエンジニアリングです。
大規模言語モデル（LLM）では、言語モデルに対して入力する命令（プロンプト）次第で、全く違って回答が出力されます。できるだけ最適化されたプロンプトを入力をしなければ、意図した回答を得られず、効果的に活用することはできません。こちらの意図が伝わりやすいよう、プロンプトを最適化する必要があります。
プロンプトを最適化する方法
最適化されたプロンプトとはどのようなものでしょうか。
プロンプトを最適化する時に最も簡単かつ重要なことは、具体的かつ明確なプロンプトを入力することです。ChatGPTのような対話型の生成AIに対して入力する場合も、我々が日常的に使用するチャットで人と会話する時も、重要な点は変わりません。相手が人間であるか言語モデルかにかかわらず、相手がこちらの意図を理解しやすいよう、具体的で明確な命令を行う必要があります。
対話型の生成AIでは、会話を続けることで最適化することもできます。我々が日常的に行う会話のように、1回ですべての回答を得る必要はありません。生成AIと会話していく中で、相互理解を深めることで、生成AIはより意図した回答を出力してくれるでしょう。
プロンプトの4大要素
プロンプトには、大きく分けて4種類の構成要素があります。
命令 (Instruction)
プロンプトにおける命令とは、生成AIに実行してほしいタスクを指示する命令文のことです。意図する回答を得るため、明確に何をしてほしいのか命令することは重要です。
生成AIに対して行われる命令には、以下のようなものが挙げられます。
- 書いてください。
- 要約してください。
- 作成してください。
- 教えてください。
- 修正してください。
- 説明してください。
- 翻訳してください。
- 分類してください。
文脈 (Context)
プロンプトにおける文脈とは、生成AIに対して行う命令に関連して、考慮してもらいたい文脈、背景、外部情報などのことです。生成AIに対して、特別な文脈、背景などの追加情報などの条件を提供することで、回答の精度を高めることができます。
例えば、上記の命令の例の1つを使用して文脈を追加してみましょう。
文脈のない命令：「要約してください。」
文脈のある命令：「あなたは議事録の担当者です。要約してください。」
上記のように、文脈（立場や役割）を明確に定義することで、プロンプトがより具体的で明確になります。上記に加えて、あなたがどのような業界や会社に属しているのかなど、精度を高められる可能性のある情報を追記してみましょう。
入力データ (Input Data)
プロンプトにおける入力データとは、生成AIに回答して欲しいテーマまたは内容のことです。
先ほどのプロンプト例に入力データを追加してみましょう。
入力データのない命令：「あなたは議事録の担当者です。要約してください。」
入力データのある命令：「あなたは議事録の担当者です。以下の会議メモを要約してください。」
上記のように、回答する上で必要になる情報をプロンプトに含むと、生成AIは何を要約するのか理解することができます。言うまでもないですが、上記の場合、上記プロンプトの下にメモを貼り付ける必要があります。
出力インジケーター (Output Indicator)
プロンプトにおける出力インジケーターは、出力指示または出力形式とも呼ばれます。どのような形式の回答を期待しているのか、具体的かつ明確に命令する必要があります。
先ほどのプロンプト例に出力インジケーターを追加してみましょう。
出力インジケーターのない命令：「あなたは議事録の担当者です。要約してください。」
出力インジケーターのある命令：「あなたは議事録の担当者です。以下の会議メモを箇条書きで要約してください。要約は1,000文字以内である必要があります。」
上記の場合、箇条書きで要約してほしいこと、そして1,000文字に収まる程度の要約が回答されることを期待していること、の2点の出力インジケーターが明確に指示されています。
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