AIや機械学習における自然言語処理(NLP)とは?

チャットボットや、Siri、アレクサなどを使ったことがある人は多いと思います。一方で、アレクサやチャットボットなど人間ではない機械が、どのようにして人間の言葉を理解しているのかについて考えたことがある人は、そう多くないでしょう。そこに、今回のテーマである自然言語処理が関係してきます。

 

自然言語処理(NLP)とは?

自然言語処理とは、簡単に言うと人間の言葉をコンピューターが理解し、処理する技術のことです。Siriやアレクサのように機械が人間の言葉を理解し、応答する際にもこの技術が使われています。

自然言語は、日本語や英語のように人間がコミュニケーションを行うために使う言語のことを指します。それに対して、プログラミング言語のように人工的に作られた言語を人工言語と呼びます。

 

自然言語処理の仕組み

コンピュータはどのようにして人間を理解するのでしょうか。コンピュータの内部では、すべての情報は0と1の2進数で処理されています。コンピュータは、人間のように文脈に沿って考えるのではなく、論理的に考えるのです。

AIを搭載したコンピューターに話しかけると、そのコンピューターは、言われたことを理解し、解釈し、適切な返答を計算し、その返答を人間の言葉に変換します。そのすべてが数ミリ秒で行われます。

一方で、人間による表現は無限です。言語や方言も違えば、世代によって使う言葉も違います。コンピュータがこれらの違いを理解するためには、すでに全ての表現を学習している必要があります。

 

自然言語処理のプロセス

一口に自然言語処理といっても、言語が異なれば言葉の構造も異なります。そのため、自然言語処理で使われる技術やプロセスは、言語によって異なります。日本語で処理する際には、主に構文解析、意味解析、語義の曖昧性解消といった技術が使われています。

 

自然言語処理の活用事例

自然言語処理は、以下のようなさまざまな場所で使用されています。

ソーシャルメディア分析

自然言語処理では、SNSの投稿文のように文字の羅列から、特定の話題、企業、商品などへの感情を抽出することができます。SNS分析ツールを活用し、企業はマーケティングキャンペーンや顧客体験向上のための施策を考えたり、新製品への口コミなどをモニタリングすることができます。

スマートアシスタント

アレクサやSiriなど、人間が呼びかけたり、指示を出すことでそれに応じた回答や動作を行うことができるのも、自然言語処理により機械が人間の言葉を理解できるように設定されているためです。

メールの振り分け

送られてきたメールが自動で迷惑フォルダに振り分けられる際にも、自然言語処理が使われています。迷惑メールに含まれる単語やテキストを特定することで、自動で迷惑フォルダへと振り分けます。

入力予測

スマホで文字を入力している最中に、候補が提示されることがあります。ここでも、よく入力される、使用頻度の高い単語や表現を提示させる自然言語処理が使われています

AIチャットボット

人間が質問やお困りごとを入力すると、チャットボットが回答してくれる際にも、機械が人間の言葉を理解できるようにする自然言語処理が使われています。

検索結果

特定のキーワードで検索をしたときに、関連する検索結果を表示するのにも自然言語処理が使われています。検索ワードを文字通り理解するだけでなく、どのような意図を持って検索されているのかを理解し、検索結果に反映します。AmazonなどのECサイト内で商品を検索し、関連商品が提示される際も同様です。

機械翻訳

文字を打ち込むだけで、何十以上もの言語に翻訳できるオンライン翻訳サービスにも、自然言語処理が使われています。機械翻訳の精度が向上しているのも、単語だけでなく単語の意味や文脈も踏まえて、言葉を処理できる自然言語処理の仕組みが背景にあります。

これらはほんの一部の事例にしかすぎません。自然言語処理がもたらす変革の力は、これからも人間とテクノロジーとの関わりを深めていくことでしょう。人間とコンピュータとのコミュニケーションのギャップを埋めるため、さらなる進化が期待されます。

 

自然言語処理プロジェクトを円滑に進めるには

Appenでは、自然言語処理を活用したモデル構築を支援するために、豊富な経験を持つ専門のチームいます。Appenのシニアデータサイエンティストであるフィービー・リウは、自然言語処理プロジェクトを円滑に進めるため、以下の3つのアドバイスを述べています。

  1. 自然言語処理の役割を明確に定義する

成功するプロジェクトは、ビジネスの課題や要件を理解することから始めます。これにより、データの収集方法、トレーニングコーパスのアノテーション、データ収集プロセスにおいて、ドメインエキスパート(ソフトウェアの特定領域に関して深い知識を持っている人)と言語学者のどちらが必要かを判断することができます。

2. ユーザーテストを実施する

音声認識では、アクセントの異なる話者や、同じこと物事に対して違う表現を使う話者でテストする必要があります。実世界の状況でユーザーテストを実施するほど、ユーザーと自然言語処理システムとのインタラクションがスムーズになります。

3. 機械学習モデルは魔法ではない

自然言語処理で100%正確な結果が得られない場合、「予備」の方法を設計しておくと良いでしょう。自然言語処理はまだ発展途上の分野であり、適切に実装するためには、分野の専門知識と優れたコーパスデータが必要です。自然言語処理がうまくいかないときのために、バックアッププランを用意し、自然言語処理の出力を管理することを忘れないようにしましょう。

 

Appenによる自然言語処理プロジェクト支援サービス

235以上の言語の専門知識、世界中で勤務する100万人以上の熟練したスタッフ、そして業界最先端のAI支援データアノテーションプラットフォームを運用して、Appenのソリューションはテクノロジー業界、自動車業界、金融サービス業界、小売業、製造業、そして世界中の政府機関のリーダーたちが求めている品質、セキュリティ、スピードをお届けしています。

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