大規模言語モデルのファインチューニングとは

大規模言語モデルへの注目度が著しく高まっている今、あらゆる業界が大規模言語モデルを活用することでどのようにメリットがあるか模索するようになりました。資金力のあるMicrosoft、OpenAI、Baidu (百度)のような企業が、大規模言語モデルを独自開発および改良を積極的に行なっている一方で、ほとんどの企業にとってはコスト面で難しいのが現実です。基盤モデルには大量のデータと高性能コンピューターなどのリソースが必要であり、膨大なコストがかかります。

多くの企業にとって基盤モデルの独自開発のハードルが高いからといって、大規模言語モデルの活用ができないわけではありません。オープンソースの基盤モデルが広く共有されるようになったことで、その基盤モデルをファインチューニング (微調整)することで、特定の業界や独自のユースケースに特化したアプリケーションを開発することができるようになりました。

この記事では、大規模言語モデルのファインチューニング (微調整)の定義、重要性、手法、タイプ、ステップなど、ファインチューニングの全てを解説します。

 

大規模言語モデルのファインチューニングとは

大規模言語モデルのファインチューニングとは、特定のデータセットを使用してトレーニング済みのモデルをさらにトレーニングすることで、特定のタスクまたは事業ドメインへの適合性を高めるプロセスを意味します。

ファインチューニングの基本原則は、機械学習モデルは、最初にトレーニング (学習)したデータのロジックと知識しか認識または理解できないことに由来しています。トレーニングに含まれていなかったデータの認識や理解が困難である場合があり、これは特定のシナリオで正確な出力を期待するようなケースで特に顕著です。

汎用的な大規模言語モデルは、幅広い言語情報を網羅し、流暢な会話を行うことができますが、医療分野で患者からの問い合わせに効果的に対応できるアプリケーションを開発する場合は、新しいデータで大規模限度モデルを追加トレーニングする必要があるでしょう。例えば、「イブプロフェンは風邪薬と一緒に服用できるのか」という入力に対して正確な出力を行う場合、基盤モデルをファインチューニングする必要があります。

 

大規模言語モデルのファインチューニングが必要な理由

事前トレーニング済みモデルは、基盤モデル (Foundation Model)や学習済みモデルとも呼ばれ、質問への回答、データの要約、さらにはコードの記述など、さまざまなタスクを実行できます。しかし、単一のモデルで全ての問題を解決できるわけではありません。特に、業界や組織特有の情報など、汎用的な大規模言語モデルが対応できないような場合、基盤モデルをファインチューニングする必要があり、ファインチューニングを行うための特定のデータセットも必要です。このような場合、ファインチューニングは不可欠なプロセスと言えるでしょう。

 

ファインチューニングの手法

ファインチューニングの定義と重要性について説明してきましたが、ここからはファインチューニングの手法について説明していきます。ファインチューニングは、事前トレーニング済みモデル全体に加える調整(チューニング)の程度に基づいて、「フル・ファインチューニング」と「リパーパシング」の2つの手法に分類できます。

  1. フル・ファインチューニング (Full Fine-tuning):全てのモデルパラメーターを含む、事前トレーニング済みのモデル全体をファインチューニングします。この手法では、事前トレーニング済みモデルの全ての層 (レイヤー)とパラメーターが更新され、ターゲットタスクの要件に適応するように最適化されます。このファインチューニング手法は、タスクと事前トレーニング済みモデルの間に大きな違いがある場合、またはタスクがモデルに高い柔軟性と適応性を必要とする場合に適した手法です。フル・ファインチューニングは、かなりのリソースと時間を必要としますが、パフォーマンスをより向上させることができます。
  2. リパーパシング (Repurposing):事前トレーニング済みモデルの下層を変更せず、最上層またはいくつかの選択された層 (レイヤー)をファインチューニングします。この手法の目的は、事前にトレーニングされたモデルの一般的な知識を保持しつつ、最上層を特定のタスクに適応させることです。リパーパシング (転用)は、ターゲットタスクと事前トレーニング済みモデルの間に、一定の類似性がある場合や、タスクデータセットが小規模である場合に適した手法です。リパーパシングは少数の層しか更新しないため、フル・ファインチューニングに比べてリソースと時間が少なくて済みますが、場合によってはパフォーマンスがわずかに低下する可能性があります。

フル・ファインチューニングとリパーパシングのどちらの手法を選択するかは、タスクの特性と使用可能なリソースによって異なります。タスクと事前トレーニング済みモデルの間に大きな違いがある場合や、高い適応力が必要な場合は、フル・ファインチューニングの方が適しているかもしれません。タスクが事前トレーニング済みモデルと類似している場合や、使用可能なリソースに限りがある場合は、リパーパシングの方が適しているでしょう。タスク要件と実験結果に基づいて、適正なファインチューニングの手法を選択しましょう。

 

ファインチューニングのタイプ

さらに、大規模言語モデルのファインチューニングは、ファインチューニングに使用するデータセットのタイプに基づいて、「教師ありファインチューニング (教師あり微調整)」と「教師なしファインチューニング (教師なし微調整)」の2つのタイプに分類できます。

  1. 教師ありファインチューニング (Supervised Fine-tuning):ファインチューニングの過程でラベル付き学習データセットを使用するプロセスです。これらのラベルは、ファインチューニング中のモデルのターゲット出力を提供するものです。教師ありファインチューニングでは、通常、各サンプルに関連するラベルが持つ分類データセットなど、ラベル付きのタスク固有のデータセットが使用されます。これらのラベルを使用することで、モデルは特定のタスクによりよく適応することができます。
  2. 教師なしファインチューニング (Unsupervised Fine-tuning):ファインチューニングの過程でラベル付けされていない学習データセットを使用するプロセスです。つまり、モデルは、明示的なターゲット出力なしに、入力データ自体に存在する情報のみに依存します。有用な特徴を抽出したり、モデルの表現能力を向上させたりすることを目的として、データの本質的な構造を活用したり、データを生成してモデルをファインチューニングします。

教師ありファインチューニングは、通常、ラベル付けされたタスク固有のデータセットで実行され、モデルのパフォーマンスを直接最適化することができます。一方で、教師なしファインチューニングは、より有用な特徴表現を抽出したり、モデルの汎化能力を高めたりするために、ラベル付けされていないデータを用いた特徴学習や表現学習に重点を置きます。これら2つのファインチューニングの手法は、タスクの性質、量、利用可能なデータに応じて、独立してあるいは組み合わせて使用することができます。

 

ファインチューニングのステップ

前述したように、大規模言語モデルのファインチューニングには様々な手法があり、手法によってファインチューニングのプロセス、アプローチ、準備、サイクルが異なります。しかし、大規模モデルのファインチューニングプロセスの多くは、以下の主要なステップを含み、関連する準備が必要です。

  1. データセットの準備:ターゲットタスクに関連する学習データセット (トレーニングデータセット)を収集し、準備します。データセットの品質と精度を確認し、必要なデータクリーニングと前処理を行います。
  2. 事前トレーニング済み基盤モデルの選択:ターゲットタスクの性質とデータセットの特徴に基づいて、適切な事前トレーニング済みモデルを選択します。
  3. ファインチューニング戦略の定義:タスクの要件と利用可能なリソースに基づいて、適切なファインチューニング戦略を選択します。フル・ファインチューニングを行うか、部分的なファインチューニングを行うか、またファインチューニングのレベルと範囲を検討します。
  4. ハイパーパラメータの設定:学習率、バッチサイズ、エポック数など、ファインチューニングプロセスのハイパーパラメータを決定します。ハイパーパラメータの選択は、ファインチューニングのパフォーマンスと収束速度に大きな影響を与えます。
  5. モデルのパラメータの初期化:事前トレーニング済みモデルの重みに基づいて、ファインチューニング済みモデルのパラメータを初期化します。フル・ファインチューニングでは、すべてのモデルのパラメータがランダムに初期化されます。部分的なファインチューニングでは、最上層またはいくつかの層のパラメータのみがランダムに初期化されます。
  6. ファインチューニングトレーニングの実施:準備したデータセットとファインチューニング戦略を使用してモデルを訓練する。トレーニングプロセスでは、設定されたハイパーパラメータと最適化アルゴリズムに基づいてモデルのパラメータを徐々に調整し、損失関数を最小化します。
  7. モデルの評価とチューニング:トレーニングプロセスでは、検証セットを使用してモデルを定期的に評価し、評価結果に基づいてハイパーパラメータまたはファインチューニング戦略を調整します。これにより、モデルのパフォーマンスと汎化能力を向上させることができます。
  8. テストモデルのパフォーマンス:ファインチューニングが完了したら、最終的にファインチューニング済みモデルを、テストセットを使用して評価し、パフォーマンス指標を取得します。これは、実用的なアプリケーションにおけるモデルのパフォーマンスを評価するのに役立ちます。
  9. モデルのデプロイとアプリケーション:ファインチューニング済みモデルを、実際のアプリケーションにデプロイし、実用的な要件を満たすためにさらなる最適化とチューニングを実施します。

これらのステップは、大規模言語モデルをファインチューニングするための一般的なフレームワークを提供します。ただし、特定のステップや詳細は、タスクや要件によって異なる場合があります。チューニングと最適化は、特定の状況に応じて行うことができます。

ファインチューニングは、基盤モデルをゼロからトレーニングするのに比べ、比較的時間を節約でき、効率的な方法です。しかし、それでもかなりの専門知識、技術的なリソース、計算能力、管理・開発コストが必要です。そこで弊社Appenは、大規模言語モデルを容易に導入できるよう、カスタマイズされた様々なサービスや製品を導入しています。

 

大規模言語モデルのためにAppenができること

Appenは、大規模言語モデル (LLM)アプリケーションへの挑戦を検討している企業向けに、さまざまなサービスと製品を提供しています。

  1. データクリーニング、データセット、アノテーションサービス:AIデータ業界のグローバルリーダーとして26年以上の経験を持つAppenは、235以上の言語と方言における詳細な調査と豊富なデータ経験を有しています。多言語データ、カスタマイズされたデータ収集とアノテーション、特定のユースケースに必要な複数のレベルでの詳細なアノテーションを提供し、大規模言語モデルのトレーニングのための堅牢なデータサポートを提供します。
  2. ファインチューニング:100万人以上のコントリビューターを擁するグローバルクラウドプラットフォームと、経験豊富なマネージャーが率いる強力な共同アノテーションチームにより、Appenはファインチューニングサービスを提供します。
  3. LLMインテリジェント開発プラットフォーム:大規模言語モデルを使用したアプリケーションの開発には、開発効率の向上と障害の軽減を目的として、トレーニングとファインチューニングを超えた複数の開発プロセスが含まれます。Appenは、LLMインテリジェント開発プラットフォームを開発し、開発者にマルチレベルおよび多面的なツールを提供し、LLMプログラムの迅速なトレーニングと展開を可能にします。
  4. カスタマイズされたLLMアプリケーションサービス:開発能力を有さない企業向けに、Appenは包括的なカスタムサービスを提供しています。強力なデータチームとアルゴリズムチームにより、適切な基盤モデルを選択し、最適なデータを使用してファインチューニングを実行し、最終的に要件を満たすLLMアプリケーションをデプロイします。

Appenが大規模言語モデルアプリケーションをどのようにサポートできるか、または特定の要件がある場合は、お問い合わせください。弊社のエキスパートチームが、実行可能な提案またはサービス見積もりを提供します。

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