データアノテーションツールは機械学習にどう役立つか

データアノテーションツールとは何か、どのように機械学習に役立つのか、採用するツールを選択する際に考慮すべき点について解説します。

AI時代のデータ生成

AIは驚異的なスピードでビジネス及び人々の日常生活に浸透しており、世界的な企業のほとんどがAIテクノロジーや機械学習モデルをビジネスに活用するようになりました。データ生成は世界各地で行われ、地球上には膨大な生成データが存在しています。

データで溢れる今、特定のユースケースに必要なデータは、おそらく世界のどこかにすでに存在しているでしょう。初めてAIプロジェクトを立ち上げる企業が直面する主な問題は、データの取得、準備、テストにかかる作業の全容を把握できていないことです。

まずデータを取得することからスタートするAIプロジェクトですが、大抵、取得したデータは未処理の状態であるはずです。データには膨大な可能性が秘められていますが、使用する前に適切に準備をし、データにラベルを付ける必要があります。

また、その他のステップとして、特定のニーズに適したデータアノテーションツールを選択することが挙げられます。データアノテーションツールは、ユースケースに                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                        適した高品質のデータを取得するために必要なもので、AIアルゴリズムと機械学習モデルの実装を成功させる鍵となります。

 

データアノテーションとは

機械学習のためのデータを使用可能な状態にするには、データアノテーション(Data Annotation)を行う必要があります。データアノテーションは、データにラベルを付けるプロセスを意味します。データにラベルを付けるには、自社で行うか、データアノテーションをサービス提供する外部企業に委託するか、機械学習の自動化を使用してデータにラベルを付けることができます。機械学習を自動化する場合も、人間がデータアノテーションを監督する必要があります。

データアノテーションを行うには、データを処理し、タグを付け、データポイントが何であるか、または何を示しているのかラベル付けを行う必要があります。データには、テキスト、画像(イメージ)、動画(ビデオ)など、さまざまな形式があります。アノテーション(ラベル付け)を行うことで、機械学習モデルがデータを読み取ることが可能となります。正確にラベル付けされたデータは、機械学習モデルの成功にとって最も重要な要素の1つです。低品質のデータや不正確にラベル付けされたデータがある場合、機械学習モデルは正確な結果を返すことができません。データの品質は非常に重要です。

 

データアノテーションツールとは?

データアノテーションツール(またはプラットフォーム)は、AIに学習させる生データにアノテーションやラベルを付けることで、データの前処理を行うツールのことです。有料または無料で使用、またはデータアノテーションをサービス提供する外部企業に依頼して実施します。データアノテーションツールにはさまざまな種類があり、適したツールはニーズと使用例によって異なります。多くのデータアノテーションツールは、特定の種類のデータのラベル付けや、特定のユースケースで使用されるデータの処理に特化しています。無料のデータアノテーションツールもありますが、有料ツールや外部企業が提供するアノテーションツールは、より高品質のデータを生成するのに役立ちます。その結果、AIプロジェクトや機械学習モデルのROI(Return on Investment: 投資利益率)の向上に繋がるでしょう。

 

アノテーションツールを選択する前に考慮すべき点

適したデータアノテーションツールを選択する際に考慮するべき要素がさまざまあります。ニーズとユースケースに最適なデータアノテーションツールを選択するため、以下の考慮すべき点を参考にしてみてください。

データ品質

データの品質は、データがどれだけ正確にラベル付けされているかによって決まります。精度が高いほどデータはより良く機能し、機械学習モデルのROI(Return on Investment: 投資利益率)が高くなるでしょう。一方で、低品質のデータを入れると品質は低いものとなります。一般に、データアノテーションツールの費用が高いほど、データ品質の向上を期待できると言えます。品質と費用のどちらが重要かを検討し、慎重に選択することが重要です。データのラベル付けは人間による手作業で、多大な努力と時間が必要です。高品質のデータの生成に重点を置いたデータアノテーションツールを選択することを強く推奨します。

データセット管理

データにアノテーションを付ける前に、データをデータセットにまとめる必要があります。データアノテーションツールを使用開始する際、そのツールがどのようにデータセットを管理するかに注目してください。これはワークフローの重要な部分になるため、アノテーションが必要な大量のデータをサポートできること、必要なファイル形式で動作できることを確認する必要があります。また、ラベル付きデータがデータ出力要件と一致していることを確認する必要があります。

アノテーションの効率

データアノテーションは手動で行われ、人間の介入が必要です。しかし、必ずしも膨大な時間がかかるわけではありません。高品質のアノテーション付きデータを効率的に作成することができるデータアノテーションツールを選択しましょう。一部のデータアノテーションをサービス提供する企業は、世界中の豊富な人材を活用してより迅速なデータ作成を強みとしています。

特定のユースケース

機械学習またはAIのプロジェクトには、特定のユースケースとデータ型があります。テキスト(文章)、イメージ(写真)、オーディオ(音声)、ビデオ(動画)が代表的な例です。通常、データアノテーションツールは、特定の種類のデータを処理できるように最適化されています。データアノテーションツールがラベル付けが必要なデータの種類で機能するかどうかを評価する必要があります。具体的な使用例は次のとおりです。

イメージまたはビデオ

  • クラシフィケーション(分類)
  • ポリゴン
  • ポリライン
  • 境界ボックス(バウンディングボックス)
  • 2D図面、3Dモデル
  • セグメンテーション
  • トラッキング(追跡)
  • トランスクリプション
  • インターポレーション

テキスト

  • トランスクリプション
  • 感情分析
  • NER(固有表現抽出)
  • 品詞
  • 共参照解決
  • 依存関係の解決

オーディオ

  • ラベリング
  • Audio to Text(音声文字変換)
  • タグ付け
  • 時間ラベル付け

相互接続性

データアノテーションプラットフォームを選択する際には、すでに自社で使用しているさまざまなツールに接続できることを確認しましょう。市場には数々のデータアノテーションツールがありますが、すでに使用しているツールと接続できるものを選択することを推奨します。

特殊な機能

データアノテーションツールによって提供される機能は異なります。各データアノテーションプラットフォームが提供している機能一覧を必ず確認しましょう。一見とても単純な機能に見えても、一部の会社にとって非常に有益な機能である可能性もあります。

自動化するアビリティ

一部のデータアノテーションツールが提供を開始した新しい機能として、データのラベル付けの自動化を挙げられます。自動化されたラベル付けプロセスのチェックやラベル付けされたデータのエラーのチェックには人間が作業を行う必要がありますが、データのラベル付けを自動化することで、時間と費用を節約できます。この機能を利用できるかどうかは特定のユースケースによって異なりますが、とても便利な機能です。

サポート体制

コミュニケーションはプロジェクトの成功とペースの鍵です。プロジェクトの状況を確認し、問題があれば解決するためにチームリーダーと連絡を取れるようにしておくことが重要です。また、ヘルプデスクやサポート体制についても確認しておきましょう。

価格

高品質なデータを収集するには費用がかかりますが、どんな企業にも予算の限度があるでしょう。データアノテーションツールは比較的低価格なものから高価格なものまであり、価格帯は幅広いです。品質と費用のどちらが重要かを検討し、慎重に選択することが重要です。

セキュリティ

データアノテーションツールのセキュリティやプロトコルを確認し、データを安全に保つためにどのような予防措置を講じているかを理解することが重要です。

  • アノテーターがアクセスできるのは自分に割り当てられたデータのみに制限する機能
  • データのダウンロードを防止する機能
  • ファイルシステムとクラウドセキュリティ

特定のデータユース・ケースの中には、規制コンプライアンス要件に該当するものがあります。このケースに該当する場合、規制を遵守できるサービスプロバイダーを探す必要があります。これにはGDPR、HIPAA、SOC 1、SOC 2、PCI DSS、SSAE 16規制が含まれます。

 

データアノテーションツールを変更する必要がある場合の対処方法

組織内でツールを変更する必要があるときは、いつも面倒です。オフィス内のさまざまな人々に広範な影響を与える可能性があります。ただし、現在のデータアノテーションツールがうまく機能しない場合は、変更を加える時期が来ている可能性があります。ツールを変更しようとしている場合は、現在のツールの気に入らない点を必ずメモして、それらの問題を解決するツールを探すことができるようにしてください。新しいデータアノテーションツールを現在の設定と比較するときは、以下を評価する必要があります。

  • データのアップロード方法
  • データアノテーションプラットフォームが提供する、チームにその使用方法を教えるためのリソースとトレーニング
  • データストレージとセキュリティ
  • データ アノテーターの生産性の品質保証

さまざまなデータアノテーションツールが多数存在するため、市場で利用可能なオプションを定期的に確認することが重要です。ここ 1 ~ 2 年で、ニーズや特定の使用例により適した新しいツールが導入されたことに気づくかもしれません。

 

Appenの教師データ、アノテーションサービス

Appenでは、機械学習の精度を改善するためのデータ収集とアノテーションサービスを行っています。お客様の特定のAIプログラムのニーズに合わせて、画像、動画、音声、オーディオ、テキストなど、複数のデータタイプにわたる高品質な教師データを迅速に提供します。

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